EMS学長 修了生インタビュー

コンサルタント/株式会社かたちえ 代表取締役

松岡克政氏

(文・写真・構成:氏家おりえ(EMS0期修了、1期特論Ⅱ受講))


<松岡克政さん プロフィール>
デザイン思考と戦略思考の融合によるビジネス・ソリューションづくりの専門家。
1995年、千葉大学大学院工学研究科工業意匠学専攻修士課程修了後、㈱日立製作所 デザイン研究所入社。ブランド戦略立ち上げ、製品デザイン、情報デザイン、ソリューションデザイン等の分野において80以上のプロジェクトに参画。
2006年コンサルタントとして独立、現在は株式会社かたちえの代表取締役として、「デザイン」というパラダイムで、大企業等のデザイン部や研究所、新規事業開発チーム等で成果創出のための共創プロジェクトを実施する一方、個人の能力・意欲開発支援として、自己開発の『場』を2007年から主催している。著書に、 『マインドマップ デザイン思考の仕事術』(PHP新書)がある。


みなさん、こんにちは。大久保寛司です。
このインタビューでは、私が聞き手になり、「〇〇の本質とは何か」を追求していきます。今回は、株式会社かたちえの代表取締役である松岡克政さんをお招きしました。松岡さんは、EMS(エッセンシャルマネジメントスクール)の0期生です。松岡さんは、なぜEMSに参加され、何を学ばれたのでしょうか。お話を伺います。

企業を退職後、独立し「組織のデザイン」プロジェクトを伴走大手

まず初めに、自己紹介をお願いできますか?

 

はい。2006年に起業し、「株式会社かたちえ」の代表取締役を務めています。これまでに色々やってきたんですが、現在は、デザインや研究所向けの成果創出に向けた組織改革等の様々な領域のプロジェクトをお手伝いしています。

 

デザインや研究所の組織改革ですか?

 

はい。プロジェクトを始めると、自然に組織改革(組織のデザイン)へとつながっていくケースがあります。その他は、提案や成果をよりよくすることを目的としたプロジェクトが多くなってきています。

 

会社は、何人ぐらいでやっておられるんですか。

 

5人です。

 

結構高い能力が必要な気がしたんですが…

 

そうなんです。たまたま私が、起業前に大手メーカーのデザイン研究所で約10年仕事をしていましたので、その経験を活かしています。

 

一般的には「デザイン」というと物理的なデザインをイメージするかと思いますが、松岡さんのやられているのは「組織のデザイン」なんですね。

 

「良いデザインをする」とか「良い研究をする」という時に、組織自体から手を入れる方が良くなりますよね。

 

なるほど、そういう意味ですね。冒頭に松岡さんが「これまでに色々やってきたんですが」とおっしゃられたのが少し気になったのですが。「色々」というのは、どんなことをやってこられたんですか?

 

「組織のデザイン」の他に、セミナーやワークショップなどもやってるんです。「組織のデザイン」とは、だいぶ毛色が違っていますが、それは独立起業したときに、私が「ノート術・思考法」のセミナー講師からスタートしたからなんです。中小企業診断士になってすぐに独立してしまって、コンサルタントとしてはほぼ無力だと気づき、独立時に取得していたインストラクター資格を活かして「ノート術」をお伝えすることを始めたんです。

 

(前職について)結構無謀な辞め方をされたんですね。

 

そうなんです。何も考えずに、勢いで。

 

中小企業診断士の資格を取得して、何とかなるかなあって思われた?

 

はい。

 

なんとかなるまでに、結構時間がかかりませんでしたか?そうでもなかったですか?

 

私には、子どもが4人いるので、何とかしなきゃいけないんですね。何とかしてきました(笑)
そんな感じです。

 

よく、何とかしてこられましたね。

 

生きていくためです(笑)

 

独立前は、大企業にいらしたんですよね。

 

そうですね。独立しゼロから始めて来ましたが、やっていた仕事が繋がってきたのは最近のことです。

 

今日の本論ではないですけど、「自分はできる!」と思って大企業を辞めて、だいたい年収が5分の1以下っていうのがスタンダードですよね。3分の1取れればいい方とか。「自分はできると思っていたのに、全然評価してもらえない」っていうのがよくあるパターンですよね。もしかしたら、そこに入っちゃったんじゃないかと一瞬思ったんですが(笑)頑張ってこられたんですね。

 

そうですね、どうにかしたんでしょうね。年収が3分の1、5分の1になっていたら生きていけないので、どうにかしてきました。でも無茶苦茶なことをしてきていますね。

「みんな、僕の夢をかなえるサポーターになってよ」という感覚からの脱却

今、チームメンバーが5名いらっしゃるということですが、組織ってたとえ3人でも、まとめるって結構大変ですよね。5人で会社を運営していく上で、大事にしておられることってありますか?

 

そもそも社員っていう感覚もないし、5人という感覚もあまりないところがあったんですね。
ちょっと前までは、「僕が成し遂げたいことを皆にも手伝ってもらってやってる」みたいなふうに思っていたんです。

 

なるほど。「みんな、僕の夢をかなえるサポーターになってよ」っていう感覚だったんですね。これで人は、ついてきましたか?

 

痛いところ突きますね(笑)それで僕は、「(社員の皆さんに対して)本当にごめんなさい」って、寛司さんのEMSでの講義を聴きながら思っていました。 

 

きっかけは、大久保寛司(EMS学長)の言葉

私の話した中で、どんな話がアンテナにひっかかりましたか?

 

まず、「人は、まず自分が理解されてから、相手の話を理解することができる」
「怒ることは、かえって逆効果あるいは悪影響しかない」というお話です。

もう一つは、「良きリーダーは、どんな人か」という問いに、「社員の幸せのことを考えて環境を作ることなんです」とおっしゃられた時に、自分がまるっきり逆だったことに気がつきまして。腹の底から、「なるほど…」と。もうひれ伏すような感じでした。
その場で、メンバーや、さらに妻にもお詫びのメールをしました

 

すごいですね。講義を聴きながら!即実行ですね。

 

妻にも、「お詫び・お詫び・お詫び」です。翌日には、社員にも「ごめん」と。言わざるを得ませんでした。


「自分はトップだ、君らを雇った。君らは僕の夢を実現する手足になるんだよ」と思ってきたのに、「相手をまず理解することが大事だ。でも自分の事だけ理解してもらおうとしてもダメですよ」という話を聞いて、ご自身の心に激震が走ったわけですね。よく、とらえられましたね、1回で。

 

タイミングだったということもあると思います。いろんな意味でのタイミングがありますが、EMSのことでお話しますね。第1回目の講義からすごくほぐされて、自分自身を見つめて、(ゼロ期の講義終盤の)寛司さんの講義のタイミングでは、セルフマネジメントの見つめ直しとしてもう十分機が熟している状態で話を伺うことができたんです。「ドーン」と心に来た感じだったんです。

 

なるほど。(EMSの講義の回数が進むにつれて)心がほぐされた状態になってきて、私の講義のタイミングでは、何かが「ドーン」と溢れてきて、素直に受け取れた、と。

 

はい、本当にそうでした。

講義を聞いている最中から、即行動

珍しいですね。受講の最中にお詫びのメールを奥さんに出すとは。

 

よっぽどだったんですね。

 

帰宅後、奥さんに何と言われました?

 

「お詫びしてくれるんだね」と(笑)。本当に悪いことをしてるんでしょうね。

 

「どうしたの?」とか「何があったの?」と訊かれませんでしたか?

 

もちろん、訊かれました。

 

そりゃそうですよね。奥さんは、「突然どうしたんだろう」と思いますよね。説明されたんですか?

 

一応、しました。ただ、(これまで)あまり仕事の話はしてきていないので、「そうなのね」っていう感じだったんですけど。妻の話は、ちょっと恥ずかしいかもしれません(笑)。
妻とビジネスパートナーとチームメンバーに、お詫びをしました。

 

それぞれの反応を聞きたいですね。

 

チームメンバーは、素直に受け取ってくれて、まあまあいい感じになりました。すぐに打ち解け、理解し合えました。
妻とビジネスパートナーは、僕に近いところで密なやり取りをする存在なわけですが、僕が変わっても、彼らがすぐに変わるわけではないですよね。

ビジネスパートナーの場合は、チームメンバーに対して、僕がやっていたこと(みんな、僕の夢をかなえるために手足として動いてね、という言動)を同じようにし始めるっていう構図が見えてくるんですね。
質問の答えになってないかもしれないですけど、実はその後も毎日寛司さんの音声を一日数分は必ず聴くようにしているんです。
移動時間中にiPhoneで、倍速にして、ずうっと毎日。欠かしたことがないんですね。

 

飽きませんか?

 

飽きないんですね。もう(自分に)染み込ませるぐらいに聞く必要があると思っているんです。また、戻っちゃうことが私にもあるわけです。例えば、「怒ってなんかないよ!いつ怒った?」って怒りだしてしまっているんです。そういうことが起きることがわかったので、だから毎日聞いて自分に馴染ませるようにしています。 

大切なことは、「毎日聞いて、毎日リマインド」する

そうですか。これは、素晴らしいことですね。
人は1回聞いてどれだけ感動しても、頭の中にある回路を変えられる人っていないんですよ。前の回路が残ってるんです。だから新しい回路を作らなきゃ駄目で、そのためにはどうしたらいいかというと、「繰り返し」しかないんですよ。「繰り返し」をやらないと、前の回路がまたピュッと出てくるんですよ。「怒ってなんかないよ!いつ怒った?」って怒りだしてしまっているというのは、誰にでもあるパターンなんですよね。だからそれを、そうしないようにするためには、「毎日聞いて、毎日リマインドする」。僕はこれが一番いいアプローチじゃないかなと思います。そうすると、植物で言うと根が生えてくる。根が生えていないときは、すぐ駄目な方に流されちゃうんですよ。でも繰り返すことによって根が生えてくる。だから根が生えるように、松岡さんはすごく努力されてるんだなと思いますね。
私だったら自分でそんなに聞かないですもんね。飽きちゃうし(笑)


飽きないのと、努力してる感覚は全くないですよ。

 

そうか。努力だと長続きしないかもしれないですね。そうすると、聞いているときは無心?

 

無心ですね。本当に笑っちゃうぐらい。僕、自分がセミナーをやっている時、自然に寛司さんの言葉が出てくるんですよ。寛司さんと同じようにはいかないと思いますが、でもこれだけ長く聞いているので、少しは届いてるかもしれないし、届いていないかもしれない。それは、わからないんですけど。寛司さんの講義を聞いた時の「時間と空間と思考」を、少しでも自分に馴染ませたいなという想いがすごくあるみたいです。

 

知らない人が聞いていたら、信者みたいな印象を受けるかもしれないですね(笑)

私の場合は、全て「自分で努力してください」。それしかありません。

 

「信じろ」とは言わないですよね。

 

だって、自分で努力するしかないですから。「天は自ら助くる者を助く」っていう言葉があるように、一生懸命努力してたら何かね(良い方向に導かれるのではないでしょうかね)。
何かのサポートがあるのかもしれないけど、そのサポートだけでよくなる、なんてことはなくて、やっぱり自らの努力っていうのがベースではないかな。松岡さんは、きっちり努力しておられますね。

ちょっと話変わりますけど、先日講演をした際に、松岡さんの会社の社員の方が私のところに来てくださって、涙を浮かべる感じで「うちの社長か私にお詫びしたんです」とおっしゃるんです。ほかの社員の方もどっといらして「(大久保寛司は)うちの社長をここまで変えてくれた本物だ」と(笑)、「あれから本当に事務所の雰囲気が良くなったんですよ」というふうにおっしゃっておられました。

 

講演やセミナーで喜んで頂くのは私の目的ではないんです。松岡さんのように、講演やセミナーを受けて下さった方が、「行動に展開する、行動変容を起こす。その行動変容で、自分も周りの人も幸せになる。」そういう人が一人でも増えて頂きたいなっていうのが私の基本的な考え方です。

 

松岡さんのように、話を聞いている最中からお詫びのメールを書いて、事務所のメンバーにも翌日お詫びをして、時々自分の古い思考回路が出てくるのを抑えるために、繰り返し聴き続けるというのは、ある意味、学ぶ姿勢としてのベストプラクティスという気がします。

「本質を学び見つめなおす喜び×素晴らしい仲間」が、EMSの魅力

EMSとの出会いは?

 

新年に、友人の鈴木利和さんからEMSを紹介するメッセージが来たんです。EMSを主催する西條先生の書籍『チームの力』を拝読したら、「すごい!すごいな!」と思って直感でゼロ期に申し込みました。

 

ゼロ期には、鈴木さんの紹介で参加したメンバーも複数いらっしゃいます。意識レベルの高い方が多かった印象ですね。EMSの中身をかなり質の高いものにした一番大きな原動力の一つではないかなというふうに思っています。なるほど、そこがきっかけだったんですね。

一言で言うと、EMSでの学びはどうでしたか?

 

一言って言われたら、「すごい!」ですね(笑)

 

人に勧めるとしたら、どのように伝えますか?

 

まず、「本質」をもう1回改めて見直したり、学び直すっていうことがとても素晴らしいことなんだよ、ということですね。もう一つは、仲間としっかり学べるっていうこともポイントです。「本質×仲間」ですかね。

 

大事なポイントですよね。やっぱり「本質を学ぶということは、すごい喜びなんだ」と。
それとやっぱり、どんな仲間と学ぶかって、ものすごく大事ですよね。そういう意味では本質を求める仲間同士で学べる。そういう空間というのは、今までなかったですよね。素晴らしい空間かもしれないですね。松岡さん、貴重なお話をありがとうございました。

【インタビューを終えて】
皆さん、やっぱり本質を学ぶっていうのは喜びだっていうことですね。それから、素晴らしい仲間たちと一緒になって学べる。ゼロ期において、多くの方が行動変容を起こされたんですが、「本質を学ぶ喜び、素晴らしい仲間と学べる」ということが基盤の一部になっているように思います。